幼い頃僕は貧乏だった。
新品の自転車を買うお金も無いし、ビックリマンチョコを買うお金も無い。
キャラクター入りの筆箱を買うお金も無かった。
普通に生活は出来ていたけれど相対的に見て僕は貧しかった。
だからといって文句は言わなかった。文句を言えば母が困ることが分かっていたから。
欲しがれば母が困るのが分かっていたから。
蓑虫やダンゴ虫と夕暮れを共にし、テレビの音が無い家で机と向かい合った。
静けさの中、ヘッドライトが動くのを二階の窓から見つめた。
だから僕は今でも窓から空を眺める。全てを回帰させるために。
ピアノのメロディを聴きながら人生を振り返る。
強い想いこそが自分が幸せになる路だと信じて生きてきた。
時には我慢することが将来のためになると思い歯を食いしばった。
周りを敵に回そうとも自分の意思を貫いた。
生意気だと言われようとも信念を貫いた。
何度も何度も思考を巡らせて経験を知恵へと変えた。
バスケットを辞めて12年。もう涙すら出ない。
