気づけば何もやることが無くなって。
時間を持て余して、真っ白のバイクで当てもなく走る。
口笛を吹く。
人生で一度だけ「口笛上手いね」と褒められた時の事を思い出す。
なんとなく立ち寄ったカフェで、内装はどこか古風で20年前に既に時が止まっている様なカフェで
薫り深いエスプレッソダブルを舌の上へと滑らす。喉の奥へと流し込む。
何の考えも浮かばない。
之まで、全ての道を自らの決断によって選び、時には捨てることも覚え
言うなれば人生における決断とは季節風と同じく気まぐれなものだと思っていたが
全ては与えられたものだったのだ。
全ての決断は与えられたものだったのだ。
それに気づかされたのは「動」が延々と繋がり続けた空間を突き進んでいた中に
気まぐれに訪れた「静」に気づいた瞬間に、実は全ての事象がからっぽであった事以外の何ものでもない。
