2008年5月アーカイブ

piano

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近所の電気屋の入り口にあった電子キーボードが奏でる音に身を引かれて僕は「渚のアデリーヌ」と出逢った。
何度も何度も足を運び耳で音を覚え、小さな指で電子キーボードの鍵盤を押した。

曲の存在を知り、楽譜を手に入れて、演奏することを学び
子供ながら持ちうる感情の全てを鍵盤にぶつけることで自分が存在していることを意識しながら
体中の全ての毛穴が生を取り込もうとしている不思議な感覚に酔いしれた。


多分、感性が豊かになるために必要なことは
ボタン一つで電子的に作られた単音の連なりなんかじゃなく
幾度となく繰り返される朝と夜の間に妄想を繰り返すことで本当は訪れなかった未来を自分の引き出しの一つとして手に入れることなのではないかと思う。


混雑する道を少しでも早く前に進もうと急いでいる時こそ
自分が存在する場所を確認し森や木が揺れ動く風景や、道端に生える雑草や
何処からとなく香る匂いの根源を辿ればいつかまた回路にめぐり合えるのではないだろうか。

涙が止まらない

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自由かつ長い時間を手に入れたこともあり

今までの人生と
これからの人生と
身を置いている組織と
新しい笑いと、音楽と
自分がサスペンスの映画が好きだったことを暫く忘れていたことと
居心地のよい空間と

切れた豆電球のワット数と
陳腐なセールストークの本と
口座に入っている残高と
ずっと欲しかったMBAの本と
電子ピアノ購入計画と
政治・経済に関してのある程度の常識と

コンドルは飛んでいくの曲に類似した曲と
キーボードの洗浄と
母の日の贈り物と
最近目をつけていたラーメン屋と
高校の同級生に連絡と
彼がノーベル文学賞を取った理由と

散らかっていた荷棚の整頓と
長く変えていなった掃除機の紙パックと
久しぶりに行った亀戸ホルモンと
暫く連絡を取っていなかった大学の友達と
全てが予想通りではなく、全てを予想の枠に捕らえようとする自分の感情と

考えてみたけど殆どの事柄に関しての結論は出ず取ってつけた結論をとりあえず当てはめてみたものの、多分僕に足りないものは継続すると言う意思で、一昔前は忍耐と言う言葉で美的に表現されたもので、時代は変わりつつある、否、変わったんだなんて言ってみたところで、自慢できるほどの年月と時代を経験しているわけでなく、ガングロとかパラパラとかが一世を風靡した時代に、彼らが屯した場所なんて想像の中での存在でしかなかった。

更にはPaul Pottsが来日していたと言うのに、その事実すら知らなかったわけで
それこそOne Chanceだよと自分自身に対して突っ込んでみたりしている。

そんなこともありつつ、平凡な日常と何か変わったかと聞かれると「ゆっくりと時間をかけてコレまでの人生と目の前の現実の妄想を繰り返すことで、姿勢がよくなった気がします。」と言うほか無くて、最近は暫く涙なんて流してないのかなぁなんて思いふけっていたけれど


なんだか今夜は涙が止まらない。

足跡

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一人でいることにあまりにも慣れすぎて
気づけば膨大な時間を浪費していたなんて事がたびたびある。

時間がいくら経とうとも、時代が大きく変化しようとも
真夜中の1時過ぎに、星一つない夜空を見上げて考えることは同じだ。


そう、僕は何も成長していないのだ。


奏でる音楽が心地よい感情を呼び起こすと共に
鈍感になった僕の感性と涙腺が完全に動くことを辞めてしまった事実を気づかせてくれる。

今の僕に必要なのは変わらないことを受け入れる勇気と
少しの謙虚さと、大胆なエゴイズムと

ゆっくりと腰を下ろすことの出来るベンチだ。

2011年9月

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