店員の女性はとても可愛らしく、しいて言えば履いている靴がスニーカーと言うところだけが気にかかった。
僕は席に着くと、徐にカバンから新聞を取り出し読み始めた。
暫くすると店員が近づいてきて「ご注文はお決まりですか?」と言った。
僕は「とりあえず生」と言った。
ビールが飲みたいわけでなく「とりあえず生」と言いたかっただけだ。
1分と経たない間にビールが運ばれたきた。
「ご注文の生ビールになります」と店員は言った。
僕は「とりあえず生」と言った。
店員は困った表情を浮かべ「ご注文の生ビールになります」と繰り返した。
僕は何も言わなかった。
そもそも生ビールが飲みたくて入店したわけでもないし
店員を困らせたかったわけでもない。
「とりあえず生」と言いたかっただけだ。
口をつけないまま、生ビールの泡が次第に消えていく間
得にすることもなく、言いたかったことも言い終えたので帰ることにした。
その後、中華料理屋に行って炒飯と餃子を食べて、タバコを2本吸った。
長い間連絡を取っていなかった友人に電話し、今日は炒飯と餃子を食べたことを告げた。
彼はこう言った。
「それよりも今度生ビールでも飲みに行かないか、素敵なスニーカーを履いた女性がいるんだ」と
