うだるような暑い夏の日、父と釣りへ出かけた。
僕は助手席へ座り、父の運転する車は海岸線を南へと走る。
釣り針と釣り糸の結び方を教えてくれたのは父だ。
ウネウネと動くゴカイのつけ方も教えてくれたのも父だ。
よく二人で釣りへ行った。
大きな魚が釣れた記憶は無い。
幼かった僕の小さな手と同じ大きさの魚を釣った僕が
父に「釣れたよ~!」と言うと、魚を針から外すことのできない僕に代わって
父が針から魚を外してくれた。
キャッチボールを教えてくれたのも父だし、火の起こし方も、カブト虫の取り方も。
人を想う優しさも、家族の暖かさも。
社会人になって初めて実家へと帰省した春に、父を飲みに誘った。
物心付いた時から決めていたことだ。
少しばかり照れくさく、そうやって二人で飲むことは初めてだった。
仕事の話、社会の話、人生の話、家族の話
父自身の話
これまでも、そうだったように。これからも良き父として、温かく見守ってください。
「ありがとう。」
